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朝に萌を聞かば 夕に悶え記すとも可なり
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今年も宜しくお願い致しますv

今、帰省しているのですが、ものっそい近くに家族がいるので、更新しにくいです・・・・・・。
メンタル的に(笑)


とりあえず四話目、アップです。
あと二~三話?





朝起きたとき、既に雷堂はいなかった。
シャツに袖を通すと、ひんやりして、昨日の肌の熱さとの違いに、ククッと笑った。
上着に手をかけると、指先にかさっと何かが触れた。

『倶楽部の件、歌賀田まで    雷堂』

背中を丸めて、髪をかきあげた。
雷堂という字を、もう一度、眼で愛で、愛で眼でなぞり。
今度は、本格的に笑った。
雷堂がこの手紙を書いたときに、じっくり観察できなかったのは残念だが、その様子を妄想し、次に逢ったとき、そのネタで弄り倒すのは愉快極まりない。
あぁ、本当に、雷堂。
お前って奴は、可愛く愚かで、最高の隣人だ。
「さて、行きますかね」
メモを内ポケットにいれると、俺は、いそいそと上着を肩にかけ、扉を閉めた。











「気をつけ、礼」
今日の授業も無事、終わった。
ふぅ、と息を吐き記憶を反芻する。
授業をやってみてわかったことだが、同じ内容を話しても、クラスの反応や自分のやる気が変わるため、一回ごとに内容の出来、不出来は変わる。
流石に1回目より2回目の方が、落ち着いてできる気もするが、必ずしも2回目の方が完成度が高いとは言えない。
つくづく人間相手のものは、「生もの」だと思う。
悪い方に転がる危うさもあるが、舞台で演じるようなスリルと興奮がある。

「鳴海先生!」

ぱたぱたと駆け寄ってくるのは、やはり歌賀田だ。
勢いあまったらしく、前の方に固まっていた少年達にぶつかった。
「ご、ごめん」
「いいよ歌賀田」「歌賀田君、気をつけたまえ」「まぁ、歌賀田なら仕方ないな」
ぺこぺこ頭を下げる歌賀田に、クラスメートの反応は、なかなかに温かい。
基本的に素直で笑顔が愛らしいから、何となく憎めないのだろう。

からり、と扉の開く音がして、俺は自然とそちらを向いた。
すらりとした少年だった。
艶のある髪の毛を長髪にならない程度に切り、細いフレームのメガネをかけている。
少し神経質そうな目つきをしているが、頭のよさそうな顔つきをしていた。
なかなかの美形だな、と思った。

だが、それよりも気になったのは、彼が歌賀田を見る目つきだ。
一瞬、歌賀田を見る目が冷たかった。
軽蔑? 非難? 嫌悪?
その全てのような気もしたし、どれもあてはまらない気もした。

「鳴海先生、お忙しいところ、すみません!」

視線を戻すと、きらきらした眼が待っていた。
「歌賀田、ちょっと近い・・・・・・」
「あ! すみません、つい、焦ってしまって」
少し離れた歌賀田は、また衣服に手をすりつけながら俺に云った。

「先生、雷堂君から倶楽部のこと、聴かれました?」

おや、今日は直球だね。

「うん。俺に来て欲しいとか」
「来てくださいますか!?」
「いいよ」
「本当ですか! じゃあ・・・・・・!」
「早速・・・って云いたいとこなんだけど、今日はあいにく職員会があって行けそうにないんだよね」
しゅん、とする歌賀田君。
「ごめんね。だから、あ・・・・・・雷堂~~~~君!」
廊下を歩いていた雷堂を呼び止める。
びくっと振り向くのを見て、笑いがこみあげる。
そんなに過剰に反応するなんて。
いじめて欲しいのか?

「ちょっと、来て」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぃ」
ぎくしゃく歩いてくる書生君を、ぐい、と引っ張る。
「ちょっ・・・・・・!? 何を!?」

「歌賀田君、今日は俺の代わりに雷堂君が行くから♪」

『はぁ?』

少年達の声が、はもる。

「ということで、雷堂君。俺の代わりにキリキリ行ってきてね♪」
「聴いてないぞ!?」
「今、云ったし。はい決定」
バンバン、と二人の肩を叩く。

「じゃ、後は若い人同士で★」

俺、職員会あるから~、と、
仲人のような爽やかさで、俺は、さっさとそこを後にした。



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