朝に萌を聞かば 夕に悶え記すとも可なり
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だんだん、この鳴海先生が、イタイ人に思えてきた。
いや、いっつものことか!(笑)
こうなったら、もうどんなコスプレさせてもいいよね!<え
いや、いっつものことか!(笑)
こうなったら、もうどんなコスプレさせてもいいよね!<え
なじみの店を出て、俺は辺りを見回した。
珍しく酒は呑んでいない。
アリバイ作りと情報収集に立ち寄っただけだから。
いや、本当だって。
信じて?
ま、信じなくてもいいけど。
俺は酔いを装って、ふらふらと裏通りを行く。
何度も角を曲がったところで、すばやく廃屋に入った。
辺りが無人なのは、確認済みだ。
埃まみれにならないように進み、床板に隠していた箱を取り出して、急いで地味な服装に着替える。
髪は、少しなでつけ、帽子の中へ。
靴は、墨色。
外套を羽織れば、はい、学生さんのできあがり、と。
これで、何か起きても「素性のわからない学生」が、目撃されるだけだ。
鏡で見れないのは残念だけど、俺の学生服姿、いけてるんじゃない?
雷堂に見せびらかしたいぜ、と思いながら、箱の中にスーツをしまい、俺は再び外に出た。
大通りに出ると、まばらに人がいる。
俺は人々の死角を泳ぐように移動し、目的地に向かった。
ようやく見えた無人の校舎に、人の気配はない。
俺は、足音を殺しながら入り込み、目を光らせる。
背筋がざわつくのは、昼間の喧噪を呑み込んだ獣が、静謐さを装って、そこにいるような錯覚に陥るからだ。
人々は、そこに怖れを抱くが、秘密を探る人間にとっては宝の山。
その匂いをかぎ分けながら、俺は廊下を進んでいく。
昼間、雷堂を引き寄せたとき、自分の嫌いな香料を彼の襟に塗りつけておいた。
嫌いな匂いほど、人間は敏感になる。
残り香を辿って、俺はある教室の前に来た。
倶楽部の部室が集められた倶楽部教棟の一室。
新聞倶楽部。
主に校内行事、時事問題、生徒からの投書などを記事にしている集まりだ。
歌賀田は、ここに俺を連れてきたかったのか?
雷堂は、まだこの近くにいるのか?
気配を探るが、やはり誰もいないようだ。
念のため、扉に特殊なしかけがないか調べる。
もし倶楽部関係者が「侵入者」ーーー秘密を共有する仲間以外の部会者ーーーを警戒するなら、ここに何かの目印をつけているかもしれない。
無遠慮に開けた者がいたら、わかるようにしている細工だ。
古典的なものならば、髪の毛、小物、学校ならチョークの粉を、わからないように扉に仕込んでおく。
そうすれば次に来たとき、撒き散らされた「細工」に、彼らは気づき、対策を取ることができる。
単純だが、効果的な方法だ。
それにしても、何のために歌賀田は俺を誘ったのだろう。
ただの偶然?
外部講師へのインタビュー?
倶楽部生とのディスカッション?
俺の自己紹介を真に受けた恋愛ごっこ?
俺は、そろりと扉を開けた。
むっと鼻孔を塞ぐ、黴とインクの臭い。
持ってきた小さな灯りを灯し、部屋中を照らしていった。
入り口の辺りには、履き物を脱ぐ土間があり、二段上ると畳が敷き詰められた部屋になっている。
机の上には、原稿に必要な資料、筆記具、辞書があり、ロッカーには、膨大な資料、原稿、屑入れなどが収まっている。壁には、暦表がかけられていて、倶楽部の予定が書かれている。
きれいではないが、個人の私物はほとんどなく、ある程度、整理整頓されている。
例えば右端のロッカーで云うと、一段目には資料やメモ書き、二段目には原稿、三段目には文具といった風にだ。
パラパラと資料をめくってみたが、これといって不自然なところはない。
文具の中や辞書の中にも、不自然なところはない。
あと、残る場所は・・・・・・。
とんとん、と爪先で床を叩く。
「失礼しま~す」
ゆっくりと畳と床板を剥いでみると・・・・・・ビンゴ。
何ですかね、この怪しげな箱は?
よっ、と腕を伸ばして、取り上げる。
「おや?」
中に入っていたのは、紙だ。
ちっ。色気のないものを。
春画くらい隠しておきなさいよ、青少年。
全て目を通したが、いくら見ても、ロッカーで見たような、メモの束だ。
ただ少し、妙なことが書いている。
例えば、こんな感じに。
タカハシ ナユタ → 41"+92、41"+25
サガラ ケイ → 25"+56、56"+325
ユゲ ナチ → 325"+11・3、11・3"+1・22
はい、意味不明~!
がしがしと頭を掻いた。
あ、そういえば、「ユゲ」は、あれだ。
昼間、歌賀田を冷たく見ていた奴だ。
下の名前が那智ならば、弓削は新聞倶楽部部員なのだろうか。
あるいは、新聞倶楽部に関わっている?
「あ~、糞」
これを解読するなんて、面倒くさいし、勤務外労働じゃねぇの?
「給料、上げろ~」
天井に向かって、拳を突き上げる。
と、瞬間、ある白黒のイメージが頭の中で唐突に極彩色に塗られ、煌めいた。
まさか・・・・・・。
俺は、はっとして壁を凝視し、ロッカーのメモや資料を探し直した。
もし、俺の推理が正しいならば・・・・・・。
興奮と、ある種の確信に、どくどくと心臓が高鳴る。
資料、暦表、奇妙なメモ。
それらを時折、畳の上で混ぜ、取捨し、見えてきた法則に従って並べていく。
名前。数字。記号。
秘匿。欲望。陰謀。
金。想。人。
勧誘。倶楽部。生徒。
学校。ヤタガラス。俺。
頭の中で、パン、と、浮かび上がったキーワードが弾け、融合し、一つの解を描く。
ゆっくりと掌で口元を隠し、眼を細めた。
「そういうこと、か」
云った瞬間、ぶるっと震えた。
怯えではない。
どちらかと云えば、歓喜、だ。
いつもは眠っている闇の獣が、静かに目を開けようとしている。
久々に、暗い血が沸き立つのを感じる。
もう一度、資料を眺めて、俺は獰猛な笑みを浮かべた。
さぁ、狩りの始まりだ。
珍しく酒は呑んでいない。
アリバイ作りと情報収集に立ち寄っただけだから。
いや、本当だって。
信じて?
ま、信じなくてもいいけど。
俺は酔いを装って、ふらふらと裏通りを行く。
何度も角を曲がったところで、すばやく廃屋に入った。
辺りが無人なのは、確認済みだ。
埃まみれにならないように進み、床板に隠していた箱を取り出して、急いで地味な服装に着替える。
髪は、少しなでつけ、帽子の中へ。
靴は、墨色。
外套を羽織れば、はい、学生さんのできあがり、と。
これで、何か起きても「素性のわからない学生」が、目撃されるだけだ。
鏡で見れないのは残念だけど、俺の学生服姿、いけてるんじゃない?
雷堂に見せびらかしたいぜ、と思いながら、箱の中にスーツをしまい、俺は再び外に出た。
大通りに出ると、まばらに人がいる。
俺は人々の死角を泳ぐように移動し、目的地に向かった。
ようやく見えた無人の校舎に、人の気配はない。
俺は、足音を殺しながら入り込み、目を光らせる。
背筋がざわつくのは、昼間の喧噪を呑み込んだ獣が、静謐さを装って、そこにいるような錯覚に陥るからだ。
人々は、そこに怖れを抱くが、秘密を探る人間にとっては宝の山。
その匂いをかぎ分けながら、俺は廊下を進んでいく。
昼間、雷堂を引き寄せたとき、自分の嫌いな香料を彼の襟に塗りつけておいた。
嫌いな匂いほど、人間は敏感になる。
残り香を辿って、俺はある教室の前に来た。
倶楽部の部室が集められた倶楽部教棟の一室。
新聞倶楽部。
主に校内行事、時事問題、生徒からの投書などを記事にしている集まりだ。
歌賀田は、ここに俺を連れてきたかったのか?
雷堂は、まだこの近くにいるのか?
気配を探るが、やはり誰もいないようだ。
念のため、扉に特殊なしかけがないか調べる。
もし倶楽部関係者が「侵入者」ーーー秘密を共有する仲間以外の部会者ーーーを警戒するなら、ここに何かの目印をつけているかもしれない。
無遠慮に開けた者がいたら、わかるようにしている細工だ。
古典的なものならば、髪の毛、小物、学校ならチョークの粉を、わからないように扉に仕込んでおく。
そうすれば次に来たとき、撒き散らされた「細工」に、彼らは気づき、対策を取ることができる。
単純だが、効果的な方法だ。
それにしても、何のために歌賀田は俺を誘ったのだろう。
ただの偶然?
外部講師へのインタビュー?
倶楽部生とのディスカッション?
俺の自己紹介を真に受けた恋愛ごっこ?
俺は、そろりと扉を開けた。
むっと鼻孔を塞ぐ、黴とインクの臭い。
持ってきた小さな灯りを灯し、部屋中を照らしていった。
入り口の辺りには、履き物を脱ぐ土間があり、二段上ると畳が敷き詰められた部屋になっている。
机の上には、原稿に必要な資料、筆記具、辞書があり、ロッカーには、膨大な資料、原稿、屑入れなどが収まっている。壁には、暦表がかけられていて、倶楽部の予定が書かれている。
きれいではないが、個人の私物はほとんどなく、ある程度、整理整頓されている。
例えば右端のロッカーで云うと、一段目には資料やメモ書き、二段目には原稿、三段目には文具といった風にだ。
パラパラと資料をめくってみたが、これといって不自然なところはない。
文具の中や辞書の中にも、不自然なところはない。
あと、残る場所は・・・・・・。
とんとん、と爪先で床を叩く。
「失礼しま~す」
ゆっくりと畳と床板を剥いでみると・・・・・・ビンゴ。
何ですかね、この怪しげな箱は?
よっ、と腕を伸ばして、取り上げる。
「おや?」
中に入っていたのは、紙だ。
ちっ。色気のないものを。
春画くらい隠しておきなさいよ、青少年。
全て目を通したが、いくら見ても、ロッカーで見たような、メモの束だ。
ただ少し、妙なことが書いている。
例えば、こんな感じに。
タカハシ ナユタ → 41"+92、41"+25
サガラ ケイ → 25"+56、56"+325
ユゲ ナチ → 325"+11・3、11・3"+1・22
はい、意味不明~!
がしがしと頭を掻いた。
あ、そういえば、「ユゲ」は、あれだ。
昼間、歌賀田を冷たく見ていた奴だ。
下の名前が那智ならば、弓削は新聞倶楽部部員なのだろうか。
あるいは、新聞倶楽部に関わっている?
「あ~、糞」
これを解読するなんて、面倒くさいし、勤務外労働じゃねぇの?
「給料、上げろ~」
天井に向かって、拳を突き上げる。
と、瞬間、ある白黒のイメージが頭の中で唐突に極彩色に塗られ、煌めいた。
まさか・・・・・・。
俺は、はっとして壁を凝視し、ロッカーのメモや資料を探し直した。
もし、俺の推理が正しいならば・・・・・・。
興奮と、ある種の確信に、どくどくと心臓が高鳴る。
資料、暦表、奇妙なメモ。
それらを時折、畳の上で混ぜ、取捨し、見えてきた法則に従って並べていく。
名前。数字。記号。
秘匿。欲望。陰謀。
金。想。人。
勧誘。倶楽部。生徒。
学校。ヤタガラス。俺。
頭の中で、パン、と、浮かび上がったキーワードが弾け、融合し、一つの解を描く。
ゆっくりと掌で口元を隠し、眼を細めた。
「そういうこと、か」
云った瞬間、ぶるっと震えた。
怯えではない。
どちらかと云えば、歓喜、だ。
いつもは眠っている闇の獣が、静かに目を開けようとしている。
久々に、暗い血が沸き立つのを感じる。
もう一度、資料を眺めて、俺は獰猛な笑みを浮かべた。
さぁ、狩りの始まりだ。
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