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朝に萌を聞かば 夕に悶え記すとも可なり
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でした!
ぐあっ!
しかも書生との絡みを書く前にタイムアーップ!
と、とりあえず・・・・・・。
メリクリ!



「まぁ、お爺様が!」
「えぇ。裏も取ってあります。余命は、後幾ばくかかと・・・・・・」
「あのご健勝なお爺様が・・・・・・」
机に置いた資料に、揺れる声が染み込む。
頬に手を当て、狼狽えるご婦人の瞳に、しかし打算と欲の光が瞬くのを、鳴海は見逃さなかった。
「今、急いで資金繰りをされるよりも、少し待ってみるのも手だと思いますよ」
「厭ですわ。私、そこまで非人情なつもりはありませんことよ」
本音を見透かされて気分を害した婦人に軽く謝罪して、鳴海は、それとわからぬ冷笑を浮かべた。



「あ~肩凝った」
こきこきと首を左右に傾けて、裏路地を歩いた。
久しぶりの探偵のオシゴトは、とある大富豪の身辺調査で、依頼人はその親族だった。
もちろん依頼してきた「彼女」は親族の使用人で、偽名を使っていたが、日々上流階級の世話をしている人間の雰囲気や態度は隠しても漏れ出てしまい、とっくにその身辺も鳴海は洗っていた。
「彼女」にもきな臭い背後関係があったのだが、それを追求する義理はない。
情報を流して日銭を稼いでもいいが、面倒だ。

金持ちの財産争いに巻き込まれては、命が幾らあっても足りない。
立ちゆかなくなっている家計を取り繕い、病人に早くよくなってくれと笑顔で嘯くような所に、いつまでもいたいとは思わないだろう?

感傷的になるわけではないが、さっさと粘つく因縁をシャワーで洗い落としたいものだ。

ぽりぽりと頭を掻いて、先ほどの「密会」の名残を、頭から振り落とす。
繁華街に出て
「あ」
鳴海は、愕然とする。
何だよ。
今日は、クリスマスか。
俺、何でこんな日に働いてるわけ?
依頼人にあげたのは、さしずめクリスマスプレゼントか。

「うっわー。厭なサンタだな」
恋人達が腕を組んで歩く様に、むっとする。

「糞。俺もいちゃいちゃしてやる」

憤然として歩き出した先は、学校の図書館。
試験勉強をするといって籠もっている書生のもと。
プレゼント頂戴、くれなきゃ悪戯するよ、とお誘いをかけるのだ。

「ハロウィンだったっけ?」

どちらでもいいや。

甘く溶けるのには変わりはないのだから。



次第に速くなる靴音が漸く静かになった頃には、脱いだ手袋が粉雪で濡れていた。

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