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朝に萌を聞かば 夕に悶え記すとも可なり
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SS書いてみたのですが、しっぽり大人風味のSSが進まないので、ちょっとテンションを上げるためにギャグ風味のSS書き出したら、
もの凄くくだらなくて笑ってしまいました。
をーい大丈夫かワタシ。

後できちんとアップしますが(たぶん)先にこちらに投下しておきますね。
わーい、莫迦に生きよう。
楽しくゆるく~♪


「お土産買ってきたよ~」
 鳴海は、ソファでのんびりしていたライドウの膝に、ぽんと置いた。
 可愛らしくリボンで結ばれた菓子の包みが、黒い庭に花を咲かせる。
 香ばしい匂いに包まれた少年が、きょとんとしている合間に、鳴海は勝手にリボンを外し、手を突っ込んだ。
「何で買ってきた当人が、真っ先に食べてるんだ?」
「けちけちしないの。俺、今週禁煙するって言ったでしょ。だから口寂しいんだよね。ま、ゴウトにゃんの分もあるから食べていいよ」
「『にゃん』は、いらん」
「わかったにゃん」
「・・・・・・ライドウ。こんな風に親父臭くなってはいかんぞ」
「ひどーいゴウトにゃん! お土産あげないよ!? むしろゴウトを食べちゃうよ!?」
「五月蠅いわ呆け! さっさと渡さんか!」
 漫才まがいの騒ぎは、その後も続いた。
 だから鳴海は気がつかなかった。
 不気味に沈黙を守り続けた、少年の真意を。







 ゆっくりこっそり扉を開けて、鳴海はほくそ笑んだ。
 禁煙宣言をしたはいいものの、禁断症状に苛々してしまう。
 煙草が駄目なら寝酒でもと、自室を抜け出して酒の隠し場所にしゃがみこんだ。
「捜し物ですか」
 急にかけられた声に、鳴海は飛び上がった。
「ライドウか!?」
 いくら灯りをつけていないとはいえ、気配に気がつかないとは。
「驚かすなよ! 電気くらい点けろって!」
「・・・・・・忘れていました」
 ドキドキする胸をおさえながら、「ライドウちゃんって意外に抜けてる?」と思った鳴海であった。
「は、早く寝ろよ」
「はい」
「・・・・・・・・・・・・部屋に戻らないの?」
「・・・・・・」
 黙り込んだ少年に、未成年には禁止しなければならない妄想が駆けめぐったが、
「或る事を実行してもよいか、少し、不安で」
 漸く開かれた唇の重苦しさに、鳴海は少し真面目な顔をした。
「或る事?」
「はい」
 やや背を折って座っているソファに、鳴海も腰かけた。
「葛葉ライドウとして? 書生として?」
「強いて言うならば、個人的なこと、でしょうか」
「ふーん。準備は整ってるの?」
「えぇ。ですが、相手がいることなので」
「へぇ。相手がねぇ」
 興味と嫉妬で、鳴海は視線を泳がせた。
「成功率が低そうですし・・・・・・」
「ふーん。でも零じゃないならやってみたら? やってもやらなくても後悔はするしさ。せっかく用意してるんだし」
 もどかしいなぁと思いながら、背もたれに腕を回した。
「確率が零でもやらなきゃいけないことより、ずっと楽しそうじゃねぇか」
「・・・・・・楽しい、ですか」
「うん。楽しくやらなきゃ詰まんねぇよ」
 寝間着の下から酒瓶を取り出してみせ、驚くライドウにも注いでやった。
「・・・・・・強いお酒ですね」
「ま、お子様は舐めるだけにしとけよ」
「・・・・・・飲みます」
「お。いけるじゃねぇか。ということで、俺、お酒追加」
「・・・・・・一杯だけですよ」
「うんうん。俺サイズで。・・・・・・って、一口かよ!」
「酒代も莫迦になりませんっ」
 息巻くライドウに、「はいは~い」とふて腐れた。
 くすくすと笑う声に、此のの調子なら大丈夫だろうと、こっそり微笑みもしたのだけれど。




 翌日。
「鳴海ー!」
 顔面に着地された鳴海は、げほっと咽せた。
「痛ってぇ! ゴウト、酷ぇ! つーか早くどいてよ! せっかく昼寝してたのにさぁ!」
「とっとと起きろ昼行灯! それは兎も角! 貴様、其処に土下座しろ!」
「はぁ?」
 起き上がった鳴海が見た物は、
 色とりどりのリボンを結ばれた
 ・・・・・・ゴウト?
「はははははははー! 何それゴウトにゃん! 可愛いよ! どしたの? 何かに目覚めちゃった!!!?」
「違うわ! ライドウが俺の昼寝を狙って、結びやがったんだよ!」
「へぇライドウがそんなことをねぇ! 似合ってるからいいんじゃない!?」
「息の根止めるぞ! つーか貴様が入れ知恵したらしいな!」
「ははははははー・・・・・・って、え?」
「貴様、が、後押ししてくれたとか言っていたぞ!」
まさか。
昨日のアレ、ですか?
実行を迷ってたのってコレですか?
よく見ると、其のリボンって、俺が持って帰った土産についてた奴ですか?
「さぁとっとと此の呪いの紐を解くがいい!」
「えー俺、昼寝の続きしたいし」
「その間に、俺がお前の髪をリボンで結んでやるぞ。ま、ライドウもお前の髪を結びたいって言ってたがな」
「そういえばライドウは・・・・・・」

「此処にいらっしゃったんですね」

「ぎゃー!」
 涼しすぎる声に、黒い毛玉が窓に避難する。
「ライドウ。落ち着け。つーか止めろ! 厭だから!」
「・・・・・・何故でしょう。そう言われるとますますしたくなってしまいます」
「男の心理がわかってきたねぇライドウちゃん。じゃっ、俺はこれで」
 そそくさと外出しようとして、鳴海は不意に首に絡みついた何物かに歩みを止めた。
「鳴海さん?」
「なぁるぅみぃ」
 にっこりと言うべきか、にごり、というべきか。
 凄まじい笑みとともに、とりあえず鳴海の運命は決定したのだった。


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